連日、洗濯と掃除と残務整理に明け暮れています。また、水、木と、防寒準備不足で駅に立った後遺症で、多少風邪気味になりました。無理をせずに昨日は選挙後初めて、家にいました。一か月分の3紙の新聞整理と切り抜き、それに疲れてごろ寝をしました。
お陰でやることが今日に押せ押せ、怠けぐせが出たのではと、反省しきり。ということで、少しだけ報告をします。
一昨日24日土曜日、神田で「市民による都市改革」と称して、耐震偽装発覚から3年目のシンポジウムを「耐震偽装から日本をたて直す会」との実行委員会形式で、企画、参加をしました。といっても私が選挙中、実質的には受付と会計をしてシンポジウムの企画は任せきりでしたが。
高層建築物の問題
今回は、福岡からマンション問題に取り組む幸田弁護士を迎え。最後は五十嵐敬喜法政大教授の檄で締めくくりました。
福岡は、住宅に占めるマンションの割合が73%あるとの事。福岡の住民が買える金額は2500万程度。多くは4000万以上で首都圏の高額所得者屋会社のの利殖目的で立てられ、転勤先と賃借している、というのです。県外の人たちが建て、住民に環境被害をもたらす、という実態があるそうです。
弁護士をやって25年、これまで扱ったマンション紛争は100件、一度も勝ったことがないのだそうです。ひどい話は、夫が弁護士、妻が障害者で、住宅地域で7時間15分日照阻害が生じる。せめて一時間の日照を、と裁判をした事例。2戸か3戸を斜めに削ってほしい、その願いも認められなかった。「夫婦は2階で暮らせばよい」というものだったそうです。そのとき、「ああ、裁判所は勝たせる気はないな」と悟り、それからは徹底抗戦に切り替えた、という話でした。障害者に「2階で暮らせ」とは、障害者基本法にも憲法の生存権にも抵触するのではないかと思いましたが、建築基準法の不条理は何十年建っても解決されていないということを、改めて知らされる話でした。
しかも、バブル再来と言われる空前の高層マンションブーム。コストダウンした15階程度の建設技術が普及したことで、全国、都市近郊にまでマンションラッシュなのです。
欧米では、高層住宅における心身の健康が危ぶまれ、住宅に高層はほとんどありません。ひたすら経済価値を求め。上へ上へと立て直していく様は、バベルの塔の教訓はいまだ生かされていないということでしょうか?
その解決策は
最後の五十嵐教授の話。「君達はやる気があるのかね。最後は真鶴の『美の条例』しかない。美の基準を決め、守れなかったら水を通さない。工事が止まれば、業者は長居をしない。10年かけて裁判をやって無理やり立てようとすることはない。議員が頑張って条例を作るか、首長をとるしかない。」
確かに、わたしたちが「中高層の建築物の紛争防止条例」をつくってからしばらくは、高層マンション問題は起きなかったのです。岩崎市長になってから、職員が条例を守る指導や、自らのチェック機能がなくなってしまいました。法律は運用次第で良くもなれば、悪くもなる。二重払いの件といい、市民ための市政という感覚や、法令遵守の意識がなくなっていると思います。
高いものは必要か?
私は、そのまちをどうつくっていくか、住民全体で考えていく必要があると思っています。平城京や平安京、城下町もそうですが、都市計画があり、街を作る思想がありました。今あるのは資産価値と、金儲け。すべての価値観の上位に来た結果、周りの住民が泣く、いざ自分が被害者になったときに、周りが冷たい、心までがすさんでいく、自分勝手な街になってしまいます。実際に川口のマンション住民から相談を受け、現地に行って話をしたことがあります。(桶川は、マンション問題で判例が2つあります。一つは25階の総合設計で住民の訴えの利益が初めて認められたこと。もう一つは中山道14階で「被害が生じたときは、住民にも請求します」という幟が認められたこと、そのどちらも私が関わっているので、知らないところから相談が来るのです。)
現地でわかったことは、この住民達もかつては加害者であったことです。9階建てだったでしょうか? そのマンションに日が当たらなくなる20階程度の高層マンションが建てられる。私が話したことは、「戦う人たちがいるのか、ということと、自分達がかつて加害者だったことを想い、運動は普遍的に誰もが共通の土台まで目的を持つことが出来るかです。」ということでした。つまり、自分達のエゴだ、と思われる様な運動なら、お金で補償を求めるほうが良いかも知れないと。結局、誰かが自分の生活を犠牲にして働き、お金を出して自分達の環境を守る、そのことをやり切れる人たちは少ないのです。
これは決して正しい考えではありません。環境を守る権利は誰にでもある。でも、現行の建築基準法が、「基準を満たせば建てられる」という法律になっている以上、加害者が被害者になる、という連鎖を法律がつくっているとので、どうしようもない、ということです。
わたしたちの問題
川口を見ればわかりますが、どんな高層マンションに住んでいても同じ問題は起きるということです。皆さんの周りに大きな建物が出現することを考えて見てください。あるいは、緑地やみどりが伐採されるということを。東京では風致地区でありながら、公園を亡くすなんて事もやっているのですから。
今の時代は何でもあり。金銭価値がすべてに勝る時代になってしまいました。せめて行政だけは住民を環境を守る最後の砦であってほしい、と願うのですが、これも首長次第で崩れ去ります。
神明のマンション問題では、住民説明が不十分にも関わらず、書類を見れば一目瞭然にも関わらず、通してしまう担当課。しかも、開発許可に関して、他のマンションで義務付けた汚水層の設置を免除しているのです。53世帯より小さいマンションでも設置させているのにです。業者に努めて便宜を図った市長の姿勢は、厳しく問われるべきと思っています。これも12月議会の質問にしたいと思っていますが。
まちづくりをみんなで考える時代に来ていると思います。地域が頭をつき合わせて、どんな街にしたいか、そのための決まりを作る必要があります。相続が発生したり、何かの事情で土地が動けば、必ずこの問題は生じます。生産緑地にしても、市がまず買取の要請をすることになっていますが、一度もされたことがないのです。地域で絵図を描く努力をし、市に取り組ませる必要があります。
明日は、臨時議会。二重払いに対する 議会の最終決断がでます。(12月10日までの任期の議員の構成です)。夜報告したいと思います。
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