都市計画審議会

先週、初めての都市計画審議会(都計審)が開かれました。都計審は、桶川のまちづくりを決定する重要な審議会。都市計画法に基づく委員会です。大型の道路の決定、区画整理、用途地域、地区計画など、開発と住環境をどう調和させるかも重要な課題。
委員は15名
 委嘱状を受け取り、自己紹介が行われました。学識経験者として、市内の設計士・岩岢氏、商工会会長・臼田氏、農業委員会会長・野口氏、農協理事長・増田氏、芝浦工大松下教授、これに議員・市川、臼田、大沢(公明)、佐藤、関根(平成会)、高野各氏(五十音順)と私。さらに、男女共同参画審議会から加藤氏、区長会から坂巻氏と北本県土事務所長がメンバー。何と、臼田委員は、兄弟で就任。この日は兄の商工会長は欠席だったが、都計審始まって以来初めてのケースではないか。今までは、商工会は、会長ではなく役員が出ていたのに、今回は異例。会長でなければならない理由は何なのか?・・・思わず考えこんでしまいました。
その後、会長に松下教授、副会長に高野議員が決まる。
審議は生産緑地
今回は、生産緑地の解除について、3件が出されましたが、いくつかの議論が出ました。生産緑地制度では、市街化区域の農地は、宅地並みの課税になりますが、30年の営農を条件として、生産緑地として登録すると、農地の扱いで固定資産税がかなり安くなります。
これが解除されるときは、相続が発生したときで、それまで農業を営んでいた場合には、認められます。しかし、その前に、市が買い取りの検討と照会をして、できるだけ市街の緑地を残す努力をする必要があるのですが、いまだかつて市が買い取った例が無いのです。制度は運用次第でよくもなるのですが、その気が全く無いのです。市街化区域の農地なので、公園が少ない場合などは、市が率先して検討をすべきと思っていますが、予算化の意図が無いのでしょう。だから、これも機械的に通してしまう場合がほとんどなのです。
しかし、今回は違っていました。下日出谷東区画整理事業の見直しで、地区から外れた場所があり、その農地と接している道路が、3.6メートルと狭い。高野委員から「滝の宮線の路線変更の時の地区の説明会で、路線が変更すると、反対車線に車が出られない。滝の宮線に出る道路を広げて欲しいとの地域の要望に対し、広げていくと市が約束している。生産緑地が解除になり、第三者に売却されたら、約束が果たせるのか。」と問題提起があったのです。
しかし、都市計画課長は、「生産緑地の解除と指導の拡幅は別の問題。」と、かみ合わない。そんなことは百も承知のことです。私も下日出谷東の区画整理となると、ずっと問題提起をしてきたので、知らなかったことを反省。そこで、「付帯決議などで、一定の歯止めをかけたらどうか。」と提案しました。すると
佐藤委員「私が元職員だったから言うわけでは無いが、道路課が約束したなら、守るんではないでしょうか。」
高野委員「生産緑地だったからこのままだった。解除されたら、どう保障していくのか。住民に約束したことを市がどうするのか、はっきりすべきだ。」
北村「角地の長方形の形なので、片側が前面道路になれば、建物は建つので、そのままの可能性もある。担保は必要だと思います。」
臼田善之委員「北村さんはそう言うけど、大丈夫だと思う。ここは長方形の土地なので、分譲して売るのが一番土地の活用としては良いと思う。だから、4メートル広げないと家は建たないから、寄付をしてもらえるのではないか。」
・・・話は違う。性善説や、予測で判断をすることは、無責任になってしまいます。分譲するのなら、その可能性は大きいかも知れない。しかし、アパートや、マンションの可能性もあるのです。
私達は、常にあらゆる可能性を見極めながら、より良いまちづくりを考えなければならないと思っています。本来なら、市が最低5メートル分まで買い取らなければならない話なのです。開発指導で、お願いしても、都市計画法上の条例化がされていなければ強制力はありません。第一、個人の土地に対し、どのように規制していくのか? 市の相当の努力が必要になると思います。
結局、会長の意見も同じ主旨ということで、会長がまとめ、「付帯決議で条件付で認める」となって落着しました。
次に、坂田の区画整理地内。長方形の土地に、小さな四角の地形の一角がくりぬいてある農地。私は不思議に思い、[なぜ、このような土地になっているのですか。ゴミ置き場とかですか。」と尋ねました。
しかし、都市計画課長の回答は、「詳しい理由はわかりません。ゴミ置き場ではありません。換地の関係でそういう地形になったのでは。」というのです。
北村「農業をやるのであれば、このような地形は農家は嫌がるのでは。」・・・すると、突然話の途中で
臼田氏「北村さんはそういうけど、農家の人だっていろんな考え方があるの!・・・・」  あとは何言っているのかわかのませんでした。
私「ちょっと待って下さい。」
臼田委員[俺が話しているんだから聞いてよ。」
私「私が先に話をしていたでしょ。」・・・そういっても臼田委員の話は止まらない。でもなんていっているのか、要旨がよくわからない。
話が一段落して、私「ちょっと待ってください。私は、臼田さんに聞いていないし、今は、臼田さんと議論するためにやっているのではありません。区画整理で生産緑地がある場合の換地のあり方に、ちゃんと国土交通省も基準を出しています。だから私は質問しています。私は、市が提案したものについて、市に尋ねているのだから、あなたに聞いていない。」
審議会の場で、人が話をしている時に、横槍はいただけない。しかも二回とも私の話に対して、というのは偶然なのだろうか? ・・・ 話した内容もよく理解できなかったので、発言は、正確ではありません。どちらの発言も、地権者の為を考えて、認めるべきと、言っているようにしか感じ取れませんでした。あとで、同席の委員に、「何て言っていたの?」と尋ねたのですが、わからなかったという回答でした。
しかし・・・・。都計審は、都市計画法に基づく審議会です。結果的に認めることがあっても、まちづくりのためのチェックも役割りの一つです。今後の方針を糾すことも出来るのです。ただ単に、「提案されたことを「ハイ」と言っていれば良い」かのような執行部に迎合しては、駄目だと思っているのです。
私は、少なくとも、都市計画法の理念は理解して臨みたい、と思っています。
都市計画法

(目的)

第一条  この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

(都市計画の基本理念)

第二条  都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

区画整理事業の中でも、生産緑地は農業に配慮した換地がされなければならない。これは国土交通省の定める換地の方針や考え方も出されているのです。だから、変形の土地は本来なら望ましくないはず。少なくとも市が技術指導している区画整理事業であれば、そのくらいのことを把握しているはずです。しかし答は最後までありませんでした。

市の対応にも腹が立ち、「減歩率が先に決めてあって、計算したら余ってしまって,そこにくっつけたということなの。」

都市計画課長「多分そうだと思います。」  

北村「なら、そう答えればいいことでしょ。」と、私も呆れて返したのですが、「多分」で答えて済ましてしまう、市の態度にも、人の質問の主旨を理解しようとしない「委員」にも、情けなさを感じたのは私だけでしょうか?・・・そして、私自身も「多分」をきちんとしなかったことについて、少し反省しています。

このところ、市も誠実に答える姿勢が欠けています。疑問を投げても、その話は関係ない、と言わんばかりの対応をする。自分達の想定外の問題が生じる事があるのでは、という真摯な姿勢がないのは、今始まった事ではないのですが・・・。こういうことが少しずつ重なって来ると、そしてこれを認めてしまっていると、市民不在の馴れ合い政治が始まるのです。

時として、私達は、事なかれ主義や役人の言うことを真に受け、同調してしまうことで、議論の質を下げてしまう過ちを起こします。私は、一つ一つ、与えられた仕事を丁寧にこなしていこうと、自分に言い聞かせています。軽薄な議論や馴れ合いをしていたら、いつか大事な局面で、いい加減な判断をしてしまうから。

迎合していれば楽です。しかし、それは私にとっては、「税金の無駄遣い」を意味します。ワーキングプーア・・・・一生懸命働いても生活が成り立たない、結婚が出来ない、そんな人たちが増えている格差社会。ますます拡大する中で、私達は358,000円の月額報酬をいただいています。職員ももっと貰っている人もたくさんいます。そのことを考えたら、与えられた仕事を精一杯やらなければ、市民への不誠実につながります。そして、それは自分を粗末にすることになると考えているのです。

それにしても、生産緑地の角地をえぐるような換地は、上手な換地とは考えにくい。課長の説明が、本当にそうなのかも、解らない。また、そこだけ、宅地並み課税にするのだとすれば、変な話です。あとで、その理由を聞きに行かなければと思います。

なお、都市計画審議会は、公開です。時間のある方は是非傍聴においで下さい。議事録も情報公開できます。

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